

東大入試の“合格しやすさ”は、科類選びで変わる
「東大に合格したい」
これは全国の受験生にとって最も高い目標の一つです。
しかし、東大入試には他の大学とは異なるある特徴があります。
それが、「学部」ではなく「科類」で受験するというシステムです。
東京大学では、文系3科類(文科一類・二類・三類)と、
理系3科類(理科一類・二類・三類)の計6つの科類に分かれて学生募集を行います。
受験生はまずこのどれか一つの科類を選んで出願し、
合格後は2年間、教養学部前期課程で学びます。
そして3年次から本格的に専門分野に進む
「進学振分け制度(通称:進振り)」によって、
希望学部へと配属されるという流れです。
ここで多くの受験生が疑問に思うのが、
「どの科類を選べば合格しやすいのか?」という点。
なぜなら、入試の問題自体は、文系なら全科類共通、理系も全科類共通であり、
出題形式や試験時間も変わりません。
つまり、文一・文二・文三は同じ問題を解き、
理一・理二・理三も同じ試験を受けるのです。
ではなぜ、「合格しやすさ」に違いが出るのか?
それは、各科類によって募集定員の違いがあり、
また毎年の志願者数の変動や受験層の傾向によって、
合格最低点や倍率に明確な差が出るからです。
実際、同じ問題で選抜されているにもかかわらず、
「文科三類は文科一類より合格最低点が低い」
「理科二類は理科三類より倍率が低い」
といったことが、毎年の入試データから読み取れます。
このような背景から、
受験戦略の中で「どの科類を選ぶか?」は非常に重要な判断要素になります。
東大入試は一見公平なように見えて、
実は科類選び次第で“合格率”が大きく変わる構造を持っているのです。
たとえば、2025年度のデータを見てみましょう
・文科三類の合格最低点:約59%
・文科一類:約61%
・理科一類:約58%
・理科三類:約69%(圧倒的に高い)
同じ問題を解いていても、
合格に求められる得点率に10ポイント近い差があるというのは、
受験生にとって決して無視できないファクターです。
また、倍率の観点からも、文系・理系で科類ごとの“狙い目”が存在します。
・理科一類は東大の中で最も倍率が低く、2025年度は実質2.2倍
・文科三類は倍率2.5倍程度だが、募集人数が多いため入り口が広い
このようなデータを冷静に分析し、
自分の得意科目や志望進路との兼ね合いを踏まえて“勝てる土俵”を選ぶことが、
東大合格への最短ルートとなるのです。
このブログでは、以下のような疑問に答えながら、
科類選びの指針と、受験戦略を明確にしていきます。
・東大で一番入りやすい科類はどこか?
・科類別に、合格最低点や倍率はどのように違うのか?
・文一・文二・文三、理一・理二・理三、それぞれの特徴と向いている受験生のタイプとは?
・科類を戦略的に選ぶうえでの注意点とは?
・実際にどんな勉強方針を取ればよいのか?
「とにかく東大に入りたい人」にとっても、
「学部にこだわりたい人」にとっても、科類選びは無視できない分岐点です。
次節からは、具体的なデータをもとに、
東大入試の構造と“合格しやすさ”を論理的に紐解いていきます。
東大の入試制度と“科類”の仕組みを正しく理解する
東京大学の入試を語る上で避けて通れないのが、「科類」という仕組みです。
一般の大学では、入試の段階で学部・学科を決めて受験するのが普通ですが、
東大では「文科一類~三類」「理科一類~三類」
という“前期課程の受け皿”となる6つの枠組みで受験生を募集します。
これは東大独自の「進学振分け制度(通称:進振り)」に対応した制度です。
東大入試の流れと「科類」の位置づけ
- 入試時点で、6つの科類のうち1つを選んで出願
- 合格後は、全員が教養学部(前期課程)に所属
- 1~2年次で文系・理系の基礎を幅広く学習
- 成績(GPA)に基づき、3年次から進学先(学部・学科)を選択
つまり、入試時点で法学部・経済学部・工学部などの所属を決めるわけではありません。
まずは「科類」単位で東大に入学し、
その後の学業成績によって進学先が決まるというユニークな仕組みです。
各科類と代表的な進学先(後期課程)
科類 | 進学先例(後期課程) |
文科一類 | 法学部、教養学部(国際関係)、他文系 |
文科二類 | 経済学部、教養学部(統合自然科学)など |
文科三類 | 文学部、教育学部、教養学部(地域文化)など |
理科一類 | 工学部、理学部(物理・化学)、情報理工学系 |
理科二類 | 農学部、薬学部、理学部(生物系)など |
理科三類 | 医学部医学科(ほぼ全員) |
※進振りでは、全学部に応募可能ですが、
成績上位者から順に内定が決まるため、人気学部へ進学するには高GPAが必要です。
「同じ問題」なのに難易度が異なる理由
ここで興味深いのが、文系3科類はすべて同じ問題で選抜される点です。
理系も同様に、理一〜理三の3つの科類が全く同一の試験で競います。
にもかかわらず、合格最低点や倍率には明確な違いがあります。
なぜなら、以下の要因が絡んでいるからです
- 募集人数の違い(理一は定員1,100人超、理三は100人未満)
- 受験者層の学力分布(文一はトップ層集中、文三は比較的幅広い)
- 進学希望者の集中具合(理三は医学部志望者で毎年激戦)
- 志願者数の変動と足切りラインの高さ
つまり、“試験そのもの”が平等でも、“勝ちやすさ”は平等ではないのが現実です。
共通テストと二次試験の構成
東大の前期日程入試は、以下のように構成されています。
共通テスト(配点110点に圧縮)
・文系:国語、数学IA/IIB、地歴2、理科基礎2、外国語
・理系:国語、数学IA/IIB、理科2(物理/化学/生物から2)、地歴1、外国語
・圧縮前は900点(場合により1000点)→ 東大独自の換算で110点に
共通テストは「足切り(第1段階選抜)」に使用されます。
倍率が基準を超えると、得点率が低い受験生は二次試験に進めません。
二次試験(配点440点)
・文系:国語(120点)・数学(80点)・地歴(120点)・英語(120点)
・理系:数学(120点)・理科2科目(120点)・英語(120点)・国語(80点)
・理科三類のみ、二次試験後に面接あり(評価比重は小)
最終判定は、「共通テスト(110点)+二次試験(440点)」の
合計550点満点で行われます。
配点比率から見ても、東大入試は“二次試験重視型”であり、
共通テストは「足切り突破」が目的だと理解しておきましょう。
足切りラインの実情(2025年度)
・文科各類:約72〜77%
・理科一類:約78〜81%
・理科二・三類:約81〜83%
足切りにさえ引っかからなければ、共通テストの得点は110点換算されるため、
極端な差はつきません。本当に勝負が決まるのは二次試験です。
最新データで見る“合格しやすい科類”ランキング
東京大学における6つの科類(文一~三、理一~三)は、
どれも全国屈指の難関です。
しかし、受験生の学力分布、募集人数、
志願者数のバランスなどから、
実際には「入りやすい科類」と「合格が極めて困難な科類」が存在します。
この節では、2024〜2025年度の最新入試データをもとに、
合格最低点・倍率・募集枠の3つの観点から、
“合格しやすさ”にフォーカスしたランキングを作成し、
文系・理系それぞれの狙い目を明確にしていきます。
文系科類の合格しやすさ比較
【合格最低点(550点満点換算)】
・文科一類:約61%
・文科二類:約60%
・文科三類:約59%
【2025年度 実質倍率】
・文科一類:約2.5倍
・文科二類:約2.4倍
・文科三類:約2.5倍
【募集人数】
・文一:401人
・文二:353人
・文三:469人(文系最多)
これらの数値からわかる通り、文三は合格最低点が最も低く、定員も最大。
また、倍率も文一・文二とほぼ同じでありながら、広い受け皿を持っています。
さらに、採点基準が若干緩めになると言われる傾向もあり、
「文三は文系で最も入りやすい」という評価はデータ上でも裏付けられます。
文系で最も合格しやすいのは【文科三類】
ただし、法学部や経済学部への進学を希望する場合は、進振りで高成績が必要。
「確実に東大に入りたい文系受験生」の戦略科類といえるでしょう。
理系科類の合格しやすさ比較
【合格最低点(550点満点換算)】
・理科一類:約58%
・理科二類:約57%
・理科三類:約69%(圧倒的に高い)
【2025年度 実質倍率】
・理科一類:約2.2倍(最も低い)
・理科二類:約2.9倍
・理科三類:約2.9〜4.3倍(最も高い)
【募集人数】
・理一:1,108人(東大最大枠)
・理二:532人
・理三:97人
理一は定員が突出して多く、倍率が最も低いという、
物理的に“入りやすい構造”をしています。
試験問題は理二・理三と同一ですが、
必要得点率は理三より10%以上低く、理二とほぼ同水準です。
一方で、理三は東大医学部進学の専用ルートであり、
日本で最難関と言われるほどの激戦区。
合格者の得点率は70%超が当たり前で、他科類とはもはや別次元です。
理系で最も合格しやすいのは【理科一類】(または理科二類)
特に理一は枠が広く、共通テストの足切りも比較的緩い。
理二もほぼ同水準ですが、年度によっては倍率が理一より高くなることも。
合格しやすさ重視の科類ランキング(2025年版)
順位 | 科類名 | 難易度総評 |
1位 | 文科三類 | 文系で最も低い合格最低点+最多定員(狙い目) |
2位 | 理科一類 | 理系最多定員+最も低倍率(理系受験生の王道) |
3位 | 理科二類 | 理一と同水準だが倍率にばらつきあり(生物選択者に◎) |
4位 | 文科二類 | 経済系進学に強く、数学が得意なら有利 |
5位 | 文科一類 | 法学部志望者が集中、合格最低点は文系最高 |
6位 | 理科三類 | 東大で唯一の医学部枠。別格の超難関 |
難易度だけでなく「進振りとの相性」も考慮を
たとえば、文三に合格したからといって、将来法学部に進める保証はありません。
進学振分けではGPA(成績)順に内定が決まるため、
文三から法学部を目指すなら上位成績が必須です。
同様に、理一に合格しても薬学部に進むには高い成績が求められる場合があります。
「入りやすい科類=希望学部に行きやすい」とは限らないため、
科類選びはあくまで“戦略の入り口”であり、入学後の努力も前提になります。
合格最低点・足切りラインのしくみと得点戦略
「どのくらい得点できれば東大に合格できるのか?」
これは受験生が最も気になるポイントの一つでしょう。
東京大学の入試では、
共通テスト(110点)+二次試験(440点)の合計550点満点で合否判定が行われます。
ここでは、足切り(第1段階選抜)の仕組みと、
合格最低点の実情、そして具体的な得点戦略について解説していきます。
共通テストは“通過儀礼”──圧縮得点と足切りの仕組み
まず、共通テストの得点は、
東大の判定においては900〜1000点満点を110点に圧縮して換算されます。
よって、たとえ100点差がついても、
東大の評価では10点〜12点程度の差にしかなりません。
共通テストで大切なのは、「第1段階選抜(足切り)」を突破すること。
倍率が所定値を超える場合、東大は共通テスト得点でのスクリーニングを行います。
科類ごとの目安倍率は以下の通りです。
科類 | 足切り倍率の基準値 | 目安得点率(2025年) |
文科各類 | 約2.5倍 | 約72〜77% |
理科一類 | 約2.3倍 | 約78〜81% |
理科二・三類 | 約3.0倍 | 約81〜83% |
年によっては志願者数が定員倍率未満で、足切り自体が行われないこともあります。
とはいえ、毎年ボーダー付近に多数の受験生が集中するため、
「足切りギリギリを狙う」のではなく、
最低でも8割前後の得点を取るつもりで準備しておくべきです。
本番で差がつくのは「二次試験」
共通テストは110点しか配点がなく、
東大の合否は実質440点配点の二次試験で決まります。
では、実際の合格ラインはどれくらいか?
2025年度 合格最低点(目安)
科類 | 合格最低得点率(550点換算) |
文科一類 | 約61%(約336点) |
文科二類 | 約60%(約330点) |
文科三類 | 約59%(約325点) |
理科一類 | 約58%(約319点) |
理科二類 | 約57%(約313点) |
理科三類 | 約69%(約379点) |
最低点はあくまでボーダーであり、
合格者の平均点はこれより5〜10%高いことが一般的です。
文系であれば65%前後、理一は63%前後、
理三は72〜73%程度が平均的な合格ラインと考えられます。
得点配分の違いを活かす“戦略的スコアメイク”
東大入試の合格は、全科目で高得点を取る必要はありません。
自分の得意科目を最大限活かし、不利な科目は最小限の失点に抑える。
この戦略が重要です。
文系(文一・文二・文三)
・国語(150分・120点):読解・記述の比重が高く、得点差がつきやすい
・社会(150分・120点):論述演習で満点を狙える
・数学(100分・80点):文系苦手層も多く、差が開く科目
・英語(120分・120点):文系理系共通。英作文・リスニング重視
→国社英の3本柱で「8割前後」を目指し、数学で5~6割死守すれば、合格点が見えてきます。
理系(理一・理二・理三)
・数学(150分・120点):最大配点科目。6割超で合格圏
・理科(150分・120点):物理・化学・生物から2科目選択。記述・考察が鍵
・英語(120分・120点):理系にも求められる読解力
・国語(100分・80点):配点は低いが、ゼロにはできない
→ 数学・理科の2科目で7割近くを目指し、英語・国語は6割前後を確保。
特に数学の出来が勝敗を分ける。
「共通テストは通過点」「二次試験が勝負」──この意識を忘れない
実際に東大合格者の中には、「共通テストで8割に届かなかった」という人もいます。
しかし、二次試験で高得点を取ったことで逆転合格を果たしています。
つまり、共通テストは“通過点”であり、勝負は東大の二次で決まる。
そのため、現役生でも早い段階から東大型の記述対策・論述練習・思考力を鍛える学習に
取り組む必要があります。
進学振分け制度の仕組みと科類選びの注意点
東京大学の最大の特徴の一つが「進学振分け制度(進振り)」です。
この制度は、入学時点で最終的な学部・学科を決めるのではなく、
2年間の教養課程を経た後に3年次から所属先を決める仕組みであり、
全国の国立大学でも非常にユニークな制度として知られています。
この制度は、「幅広い学問に触れてから専門を選ぶ」という
リベラルアーツの理念に基づいており、確かに柔軟性が高い反面、
科類ごとの有利不利が如実に現れるシビアな成績競争でもあります。
進学振分け制度の基本ルール
進振りは、以下のステップで進みます。
- 入学時:文一~三類、理一~三類のいずれかに所属
- 1〜2年次:教養学部で一般教養を履修し、GPA(評点平均)で学内順位が決まる
- 2年後期:進学希望調査が行われ、成績順で進学先の“内定”が決まる
- 定員に達した学部・学科には、成績上位者しか入れない
- 進学先が決まらない(いわゆる“進振り敗退”)と、希望しない学科に振り分けられるケースもあり得る
つまり、「東大に入ったあとが本当の勝負」と言っても過言ではありません。
志望する学部に進むためには、入学後の成績が極めて重要なのです。
各科類と進学先の対応関係(進学傾向)
科類 | 主な進学先学部 |
文科一類 | 法学部が中心(最も成績ボーダーが高い) |
文科二類 | 経済学部が中心(数学得意層が多く進学) |
文科三類 | 文学部・教育学部・教養学部などが中心 |
理科一類 | 工学部、理学部(物理・化学系)など幅広い |
理科二類 | 農学部・薬学部・理学部(生物系)が主 |
理科三類 | 医学部医学科(原則、全員が進学) |
注意点として、進振りには「推薦制度」や「内定制度」がなく、
完全にGPA順の実力主義であることが挙げられます。
どの科類からでもほぼすべての学部・学科を志望することはできますが、
人気の学部に行きたい場合は元の所属科類によって“スタートライン”が異なることを
理解しておく必要があります。
科類選びの“落とし穴”──「入りやすい=進みやすい」ではない
たとえば、「文科三類は文系で一番入りやすいから…」という理由で受験し、
見事合格したとしましょう。
しかし、将来法学部を希望している場合、進振りの成績上位者に入らない限り、
その道は閉ざされます。
法学部には文科一類からの進学者が大多数を占め、文三からの進学は極めて狭き門です。
同様に、「理科二類は理一より合格最低点が低いから…」という理由で受験したとして、
進学希望が工学部だった場合、理科一類からの進学希望者が集中する分、
競争率が高くなり、結果的に不利になることもあります。
一方で、「最初は明確な志望がない」という人にとっては、進振り制度は魅力的です。
2年間の間にじっくりと自分の興味関心を探求できるため、
将来の選択肢が広がる制度でもあるのです。
科類選びで後悔しないために
受験生が科類を選ぶ際、以下の3点を軸に判断するとバランスが取りやすくなります。
- 将来進みたい学部・分野が明確か?
→ 進学先の“王道科類”を選んだ方が、進振りのリスクは少ない - 自分の得意科目と科類配点の相性は?
→ 文二は数学、理二は生物が強い人に有利とされる - 最優先は“合格すること”か、“志望学部に確実に進むこと”か?
→ 合格率重視なら文三・理一が候補。学部志望優先なら文一・理三など直結型
進振りの制度は、リスクとチャンスの両面があります。
東大に入ることがゴールではなく、
「東大で何を学び、どこに進むか」が本当の目的であることを、改めて意識した上で、
慎重に科類を選ぶようにしましょう。
文系・理系別!科類ごとの得点戦略と学習アドバイス
ここまでで、東京大学の入試構造と科類ごとの特徴、
そして合格しやすさの差についてデータに基づき分析してきました。
しかし、知識を得ただけでは合格できません。
大切なのは、自分が志望する科類に対してどんな勉強戦略を立て、
どの科目をどう鍛えるかです。
この節では、文系・理系のそれぞれに対して、
科類ごとの得点戦略・優先順位・科目別学習のコツを解説していきます。
科類によって出題内容が同じとはいえ、
配点の比重や受験生の学力分布、進学後に求められる学力傾向には差があります。
だからこそ、「どこで点を取り、どこで勝負するか」を見極めることが重要です。
文系:国社英を主軸に、“高安定型”の得点設計を
共通ポイント
文系三科類(文一・二・三)は試験問題が全く同じですが、
得点配分と求められる能力には微妙な違いがあります。
特に差が出るのは以下のようなポイントです。
科類 | 特徴 |
文科一類 | 法学部志望者中心。論理的読解・記述力が必須 |
文科二類 | 数学選択者多め。経済学系志望なら数で点差がつく |
文科三類 | 文・教育・教養系志望。全体的にバランス型 |
科目別戦略
・国語(120点):現代文は抽象度が高く、要約・論旨の把握力が問われる。古文・漢文は“作品背景の理解”が差になるため、単語帳・古典常識集の活用を。毎週1題は記述演習を実施し、添削で弱点を見つけること。
・社会(2科目・120点):論述式が中心。単なる語句暗記ではなく、「なぜそれが起きたか」「どう影響したか」を説明する力が求められる。年表・地図・資料を使った学習を心がけ、週1〜2回は過去問型で答案作成を行う。
・数学(80点):配点は低いが差が付きやすい。整数・確率・ベクトル・微積分が頻出。完答力よりも部分点を逃さないことが重要。青チャート→標準問題精講→過去問の流れを作り、答案作成力を鍛える。
・英語(120点):最重要科目のひとつ。長文読解(学術系中心)、和訳・英作、リスニングがバランスよく出題。まずは構文解釈力(英文解釈の技術)を仕上げ、自由英作は添削指導を受けながら質と量を確保。
理系:数学・理科を柱に、“高火力型”で突破を狙う
共通ポイント
理系は、理一・理二・理三の3科類共通問題で競います。
ただし、理三だけはレベルが異なる“別格”の戦場と考えるべきです。
理一・理二については、得意科目と志望進路の相性で選択が変わります。
科類 | 特徴 |
理科一類 | 工学部系進学が多数。数学・物理が得意な受験生が多い |
理科二類 | 農学・薬学・生物系。生物選択者も多く多様な層が存在 |
理科三類 | 医学部専用枠。全科目で極めて高得点が必要 |
科目別戦略
・数学(120点):東大理系最大の配点。整数・確率・微積・図形・漸化式が主軸。
難問対応よりも“典型パターンを落とさない緻密さ”が必要。
思考過程を丁寧に答案化できるかが鍵。
青チャ→上位問題集→過去問+答案添削を繰り返す。
・理科2科目(120点):
物理:力学・電磁気・波動を中心に“思考プロセスの記述”が多い。図解力・論述力を鍛える。
化学:理論計算中心。酸塩基・電池・有機の論述が頻出。教科書の定義や実験手順を“説明できるようにする”。
生物:知識型ではなく“実験考察系”が中心。グラフ・図表から因果関係を読み解く力を養う。
・英語(120点):理系でも文系と全く同じ問題。つまり、手を抜けない。
理系話題の長文が多いため、科学系英文記事を読み慣れておくと有利。
要約・和訳・英作で“正確かつ簡潔”に書ける能力を磨く。
・国語(80点):理系にとっては鬼門。最低でも5割得点できる読解・記述力をつける。
古文単語・文法、漢文句法の基礎を確実に、現代文は“読み方の型”を決める。
科類別で強化すべき科目の優先度(目安)
科類 | 得点源として意識すべき科目 | 弱点科目の目標点 |
文科一類 | 社会・英語 | 数学5割死守 |
文科二類 | 数学・英語(経済学部志望者が多い) | 国語・社会6割以上 |
文科三類 | 国語・英語 | 数学4〜5割 |
理科一類 | 数学・物理 | 国語5割 |
理科二類 | 生物・化学・英語 | 数学6割以上 |
理科三類 | 全科目で8割以上(特に数学・理科) | 国語6割目標 |
まとめ|“合格しやすさ”と“進学希望”をどう両立するか?
ここまで、東京大学の入試における科類ごとの特徴、最新の合格データ、
得点戦略、進学振分け制度について詳しく見てきました。
最後に、本記事の要点を整理しつつ、「合格しやすさ」と「進学希望の実現」という
二つの軸をどのようにバランスさせるべきかについて、戦略的な指針をまとめていきます。
東大入試は“1点を争う勝負”──数字から冷静に戦略を立てる
・文系では、文科三類が合格最低点も倍率も比較的低く、「東大文系で最も合格しやすい」科類として現実的な選択肢となっています。
・理系では、理科一類が定員の多さ・倍率の低さから「東大理系で最も通過率が高い」科類とされ、王道ルートとして多くの受験生に選ばれています。
・対照的に、理科三類は全大学入試の中でも最難関。高得点勝負に自信がなければ、現実的に避けるべきでしょう。
ただし、注意すべきは「入りやすさ=行きたい学部に行ける」ではないという点です。
進学振分け制度では、1・2年次のGPA(成績)によって3年次の進学先が決まるため、
希望学部がある場合には“初期配置”となる科類が非常に重要です。
合格を優先するか、進学希望を優先するか?
受験生が科類を選ぶ際には、次のような2軸で自分の優先度を明確にしましょう。
❶ とにかく東大に合格したい(合格可能性重視)
→ 文系なら文三、理系なら理一が最有力
この場合、進学振分けで不利な進路(例:法・経済・医学部)を希望するなら、
1・2年次で上位成績を維持する覚悟が求められます。
入学後の戦いを前提にした“逆転プラン”です。
❷ 希望する学部に確実に進みたい(進路希望重視)
→ 法学部志望なら文一、経済志望なら文二、工学志望なら理一、農学志望なら理二
この場合、志望学部に対応した“王道科類”を選ぶことで、
進振り時の競争リスクを下げられます。
ただし、合格ラインが高くなる可能性がある点には要注意。
東大合格への道は“配点設計”と“科類戦略”の二本柱
東大の合否は、科目ごとの得点戦略に大きく左右されます。
共通テストは足切りを突破できればいい。勝負はあくまで二次試験。
その中で「自分がどの科目で点が取れるか」を見極め、
得意を伸ばして苦手を補う戦略設計が大切です。
・文系:国語・英語・社会の3本柱で得点安定、数学で失点を抑える
・理系:数学・理科で得点源を作り、英語で差をつけ、国語を足を引っ張らせないように
また、進学振分け制度を踏まえた科類選びは、
受験直前ではなく、高2・高3の早い段階で考えておくべき問題です。
どの道を選んでも入学後の成績競争は避けられません。
だからこそ、「合格後の自分」まで含めた長期視点で戦略を立てるべきです。
最後に──東大合格に必要なのは、「賢い努力」
東京大学は確かに日本最難関の大学ですが、「天才だけが行く場所」ではありません。
明確な戦略のもと、粘り強く準備を重ねた受験生が、確実に合格を勝ち取っています。
・自分の得意を冷静に分析し
・自分の志望進路と向き合い
・毎日の勉強に計画的に取り組む
この積み重ねこそが、最も現実的な東大合格の鍵です。
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